conclusion


□はーとびーと
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「……何?」

「あの、それ私の……」


 小さく指差すと、自分の手の中にある冊子を見て、


「これ、お前の?」


 一回頷く。すると彼はもう一度ゴミをはたいて、


「はいよ」


 と渡してくれた。ありがとうございます、と頭を下げると、いいよと笑った。

 さっきはちょっと怖い人だと思ったけど、その顔を見たらその考えがいかに失礼なことだったか分かった。


「あ……」


 “あ”?

 変な声に彼の視線の先を見ると、そこはまさにもぬけの殻とでも言うような状態。先程までの人混みがいない上に、棚に列んでいた食品も全て無くなっていた。


「あちゃー……」


 もしかして、というかもしかしなくても、あの人は私の落とし物を拾っていて戦線に参加できなかったのではないか。その結果食べ物がなくて、「あちゃー」。

 だとしたら。


「あ、あの! これどうぞ!」


 私が差し出したサンドイッチを見て、彼の目が丸くなったのが分かった。一瞬遅れて、私の目は点になる。

 人混みに押され蹴られした中でサンドイッチを死守しようとした結果、必死の思いで手にした食べ物もぐしゃぐしゃになってしまっていた。
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