conclusion
□はーとびーと
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「ナッツ、そこのサンドイッチ取って〜」
私よりも目的のものに近いナッツに、人に押し潰されそうになりながら言う。だが、ナッツはそれどころではないようで、冷し中華を取るのに必死になっていた。
こりゃダメだと思い、自力で取ろうと人混みをかき分けた。そして、精一杯手を伸ばしてサンドイッチを取ったところで、
バサバサッ
足下で不穏な音。見ると、抱えていたテキストやらノートがぶちまけられていた。
慌ててしゃがみ、かき集めるが、一冊が誰かに蹴飛ばされて壁際にやられてしまった。
「あぁもぅっ!」
と小声でぼやきながら人混みを逆流してテキストの場所まで行くと、誰かが先に拾っていた。
遠くでも分かるような綺麗に染められた金髪に、左耳には青いピアス。私より十センチは高いであろう身長。白い半袖シャツに黒いズボンは、彼の身の細いことを更に強調させていた。
彼は私のテキストをぱたぱたとはたき、ゴミを落としてから裏表紙や中をぱらぱらめくった。
「あ、あの」
恐る恐る声をかけると、その人が振り向いた。少し怯むほどの鋭い目で見られ、固まってしまった。