conclusion
□はーとびーと
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「……いいんだよ、明香音ちゃんのところ行っても」
すると幸彦くんは半分睨むようにこちらを見た。
「……何?」
「神田さんの方が、明香音に言うことあるんじゃないすか?」
「え……」
どうしてこう痛いとこばかりついてくるんだろう、この子たちは。
二つしか歳は違わないのに、若いってことはそんなに敏感なのだろうか。
「あー……うん、じゃあ、ありがとう、って伝えてくださ」
「はぁー」
「……?」
俺の言葉を遮って、幸彦くんは盛大なため息をついた。驚いて言葉を詰まらせた。
「……そういうことは自分で言ってくださいよ」
そこまで俺を睨みながら言うと、急に幸彦くんは片手で頭を抑えて俯きがちに言った。
「その方が、アイツ喜ぶから……」
そしてまたため息をつく。
ステージに立ってライトに熱せられていた僕には、その言葉の意味を理解するまでに多少の時間が必要だった。
「そう……だね」
小さく呟く。
伝えることが出来たときの、あの子の顔を思い浮べて、何故か笑顔になった。
あぁ、やっぱり……
でもそれは、伝えちゃいけない気持ちだ。
俺は彼女にふさわしくないし、第一それでは彼に申し訳が立たない。
応援すると決めたのに。