conclusion
□片恋
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いわゆる、“転校生”というやつ。
いつもは退屈な朝のSHRだけど、皆の視線が一点に集中した。
こんな時期に転校生。
そんな物珍しさから、好奇の目が向けられる。
彼は村上隆というらしい。
担任の説明があったあと簡単な自己紹介があった。
礼儀正しいけど堅くない。それなりの好印象を受ける人だった。
「ね、かっこよくない? 転校生」
後ろの席の松野沙恵が肩を叩きながら話し掛けてきた。
「……まぁねぇ」
あまりそういうのに興味がない私は適当に頷いた。
視線の先では担任が何か言っていたけど、頭に入らない。
「アンタ基本水準高いもんねぇ」
「アンタは水準低いもんねぇ」
嫌味に嫌味で返す。そんなことが笑顔でできる関係。
沙恵は私の数少ない親友の一人だ。
「てかアンタ彼氏はどうしたのよ」
「それとこれとは話が別〜」
楽しそうに言って転校生を観察する沙恵。そんな様子を横目で見る私。
そうこうしている間に、HRが終わった。