conclusion
□lemon tea
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ある日突然、
歯車は、
回り始めた──
「で、彼女には言ったのか?」
タケの言葉に、僕は首を横に振った。
タケは渋い顔をしたけど、苦笑気味に俯く僕を見て、何も言わなくなった。
僕を責めても、しかたないと思ったのだろう。
そんなタケの気遣いが、嬉しいようで、少し心苦しかった。
「でも、」
と続けた僕に、タケは僕を見る目に少し明るい光を取り戻した。
「いつかは言わなきゃって、思ってる」
「……そうか」
タケは相槌を打って、持っていた缶コーヒーを飲み干した。
僕はと言えば、まだ栓も開けていないレモンティーを、ホッカイロ代わりに手元で遊ばせてばかりいた。
数年前から、自販機を前にして悩むことが無くなった。
あれから、いつもレモンティー。
そう。
彼女に、初めて逢ってから。
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