conclusion


□四季折々
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「『さくらの木の根元には死体が埋まってる』」

「え?」

「って話、聞いたことありません?」

「……あぁ」


 そういうのなんて言うんだっけ。

 自分の思考に入ろうとしていると、彼女はまたしても自分で話を進める。


「なんか素敵じゃありません?」

「……死体が?」


 まさかね、と思いながら苦笑すると、彼女は笑顔で頷いた。僕は口元を引きつらせた。この子は頭がおかしいんじゃないか。

 彼女は視線をさくらに戻して続ける。


「こんなに綺麗な花を咲かせるために、人間の力を借りてるんですよ。そうやって人の苦しみや悲しみを吸いとってくれてるんだと思うんです。だから、綺麗に咲いた花を見て、人はこんなにも楽しい気分でいられるんじゃないですかね」


 そう言って木を見上げながら微笑んだ彼女の横顔は、冗談を言っているような顔じゃなくて、とても楽しそうで。

 こんな考え方を僕が出来ていたなら、今日のこの日ももっと笑顔でいられたのかもしれないなんて、心のどこかで思ってしまう。

 それでも急にそんな考えを持つことに頭がついていかなくて、僕は彼女から顔を反らして下を向いてしまった。
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