conclusion


□四季折々
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「なぁーんてね」

「……は?」


 沈黙を破ると同時に舌を出した彼女は、悪戯っぽく笑うとブランコから立ち上がった。


「あーあ、お腹空いちゃった」


 そう言いながら背中を伸ばす彼女は、全くいつもの調子で、先程までの沈黙が夢か幻のようだった。


「じゃ、私はお先に! ビールごちそうさまでしたー♪」


 手を振り去っていく彼女を目で確認するも頭がついていかない。

 結局なんだったんだ、という疑問が思考を麻痺させる。

 ただ、なんとなく今までと違う彼女を見れたことで、苦手意識は薄らいだ気がする。

 子ども好きなのは意外だったけれど。

 僕は持ったままの缶ビールに視線を落とし、ついでに視界に入った空き缶を見つけて呟いた。


「やられた」


 やっぱり彼女はずる賢くて世渡り上手だ。

 そうして僕の中に足跡さえ焼き付けて行ったのだから。

 僕は彼女が残した空き缶を拾い上げ、星が瞬きだした空を眺めた。

 明日もプール日和りだ。





fin*
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