conclusion


□四季折々
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「なにニヤニヤしてんの?」


 突然下から聞こえてきた声に我に帰ると、首からメガホンを下げた同い年くらいの女性が僕を軽く睨みつけていた。白いTシャツにベージュの短パン。僕と同じ格好をしている。


「別に。ニヤニヤなんかしてないよ」


 冷静を装ってそう言ったけれど、内心ヒヤヒヤものだ。

 彼女は僕をからかうように「へぇ〜」とだけ言うと、椅子の傍らに立った。

 僕の視点は彼女より遥かに上にあるので、僕の位置からは彼女のTシャツの中に隠された谷間が見えてしまう。

 つい見入ってしまいそうな自分を抑えて、視線をプールサイドに移した。


「今見たでしょ」


 すかさず彼女の声が飛んでくる。


「何が」


 僕もすかさず答える。

 明らかに会話は結論を出していないのに、彼女は、


「スケベ」


 と僕を罵って歩き出してしまった。

 だって仕方ないじゃないか、見えたんだから。

 僕は心内でぼやいた。


 彼女は同じプールでバイトをする大学生。

 僕より一つ年下のはずなのだが、態度は僕より大きい。

 まぁしっかりしているのも事実だし、仕事も僕よりこなしているわけだから、当然といえば当然なのかもしれない。
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