conclusion
□四季折々
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夏-summer-
青い空に流れる入道雲が膨らむように
僕は君に恋をした。
暑い。
照り付ける陽射しは容赦なく地面と僕の後頭部を熱している。
お盆を過ぎたというのにこの暑さ。これもやっぱり地球温暖化の影響なのだろうか。
僕は首にかけていたタオルを広げて頭に被せた。
意味があるかは分からないが、無いよりはマシだろう。
眼下に広がるのは、眩しいほどの海……ではなく近所の市民プール。
僕はこの夏ここでバイトをしている。
最初はプールでバイトなんて涼しげでいいじゃん、などと考えていたけれど、この炎天下の中、目前の天国を前に太陽に焼かれ続けるのは地獄としかいいようがなかった。
監視員用の背の高い小さな椅子に座り、黄色いメガホンを片手に頬杖をつく。
今日はいつもより人が少ない。あまりに暑すぎて家から出てくる人も少ないのかもしれない。
そんな中、大きなビーチボールを投げ合いながらはしゃぐ水着姿の女性客がやけに輝いて見える。
それは舞い散る水しぶきのせいか、まるで天使が僕を迎えに来てくれたようだった。