conclusion


□四季折々
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 どうしてだろう。

 今の僕は少し変だ。

 見ていたいと思った。

 雨を見つめる彼女の目を、
 雨に濡れる彼女の手を、
 できるものならこのままずっと。

 何も言わない僕に、彼女も何も言わない。

 僕と彼女の間にあるのは確かに沈黙ではあったけれど、それを埋めようとせんばかりの雨音と降り注ぐ水のおかげか全く居心地の悪さを感じなかった。


 そういえば、


 僕は自分もよく雨を見ていたことを思い出した。

 それは雨がうるさいからじゃなくて、むしろうるさい現実から目を反らしていたように思った。


 ざーざーと音を立てる雨。


 雨の音だけに支配された世界はこんなにも静かなのかと、ガラスを隔てない生の音を聞いて思った。

 僕はそっと壁に身を委ねた。

 暗い空から、澄んだ水が零れる。その様子を僕はチャイムが鳴るまで眺め続けた。


 たまにはこんな日もいいかもしれない。





fin*
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