わかめのターン!
□自宅訪問(上)
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俳句も駄目。センスもない。
可愛げもないのに、ヌイグルミなんか抱いて寝ている薄気味悪いクソジジィ……
その人のことを考えると、僕はひどくイライラしてくる。
松尾芭蕉。
彼は、僕の師匠だ。
「芭蕉さん。気分はどうですか」
「あぁっ!そ……曽良くん……曽良くん、もっ、もぅっ……もう許してッ…!…芭蕉もう死んじゃっ……ァッ……」
「……そんなにイイんですか?ジジィのくせによくもまぁ幾度も幾度も勃ちますね。恥ずかしくないんですか?」
「恥ずかしい……恥ずかしいよ、曽良くんっ……だからっ!だから、もぅっ……ゥンっ……」
「へその緒とどっちが恥ずかしいですか、芭蕉さん」
「そ……曽良くんっ!ゴメン……謝るからっ……」
「質問に答えたらどうですか」
「あぁっ!!やっ……やめっ、曽良くっ……んァッ!……」
……事のいきさつはこうだ。
芭蕉さんの自宅に招かれたものの、あまりの異臭(たぶん加齢臭が充満しているせいに違いない)に耐えきれず、僕は帰ろうとした。
すると、芭蕉さんは恥ずかしいものを見せるからどうか上がってくれ、と頼み込んできて……
なる程。それならば……ということで上がることにしたのだが。
出てきたのは、へその緒。
「……芭蕉さん。もっと恥ずかしいものはないんですか?」
「えっ?とりあえず今のところ、これが一番……」
「本当ですか?嘘ついてたら承知しませんよ」
「ほっ……本当だよ、曽良くん……」
「本当に本当ですか?もし、これよりも恥ずかしいものがあった場合、僕の命令を一つ聞いてもらいますがそれでいいですね?」
「ええっ?……うーん……いいよ!芭蕉、へその緒以上に恥ずかしいものなんて持ってないもん!」
「……言いましたね?今の言葉、忘れないでくださいよ……芭蕉さん」