月姫譚-ツキヒメタン-

□05.いざ、敵地へ
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―朝・青春学園前―

その日、青学前に2人の男女がいた。


「今日だよね…
     ―…が来るの」

「あぁ…」


「ボクはいつ頃コッチ来ればいい?」


「まだわからねぇ…少なくとも、
    ―…が来てからのがいいだろ」


「そうだね…でも残念だ。
天使を堕とした醜い魔女を早くこの目で見たいというのに…」


「ははっ!!
止めとけよ梅桃(ユスラ)。目が腐っちまうぜ!!」


梅桃と呼ばれた少女は「…それもそうだね…」と呟き、小さく溜息をついた。


梅「でも伊織(イオリ)はこの間見かけたんでしょ?どうよ」

少年の名は伊織と言うらしい。

「ははっ…………はぁ…」

梅桃の問いかけに苦笑いした後、溜息をつく。

伊「ゼンッゼン可愛くねーよ!!
遠くにいてもきっつい香水の臭いが漂ってくんだぜ!!?

澪のが100万倍、否、比べもんにならねぇくらい可愛いね!!!!」


梅「そんな当たり前の事言わないでよ…比べたら澪に失礼極まりないよ」


[澪]。
2人は確かにそう言った。魔女にはめられ、仲間に裏切られ、自ら命を絶った、哀れで美しい天使の名を―…




梅「―…そろそろボクは失礼するよ」

伊「おぉ。また連絡する」

梅「ん。…[月姫]によろしく言っといて」

伊「ハハッ…はいよ」



梅桃は伊織と青学に背を向け、後ろに控えていた車に乗ってその場を去った。
伊織は梅桃を見送り、しばらくしてから青学の門をくぐった。




伊「やっと月姫が…この[青の園]にやってくる…。

くくっ…さて、どんな復讐劇を観せてくれるのやら…。俺達も、その劇に参加させてくれよ?


俺も梅桃も、楽しみでしょうがねぇんだからよ…」



歪んだ、狂気に満ちた、そんな笑顔を浮かべながら、伊織は教室に向かった。





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