月姫譚-ツキヒメタン-

□04.覚悟と想いと
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――--…葬式も済ませ、あの日から一週間が経った。



神楽は今日から、青学へ通う。



『…やっぱり、しっくりこないわね…』


―コンコンッ―


『!…はい』


星「…神楽、俺だ。入ってもいいか?」


『兄さん…どうぞ』


―ガチャッ



扉が開き、神楽の兄、御門星嗣が入ってくる。


星「…」


『…兄さん?』


星嗣は、神楽の姿を見た途端に固まった。


星「お前…









本当に神楽か?」


『…何を言いますか、神楽ですよ。決まってるじゃないですか』


星嗣が疑うのも無理はない。
今の神楽の恰好は、

分厚い眼鏡に三つ編み、膝丈スカート。普段の彼女ではあり得ない姿をしていたから。


星「…女って、化けるな」


『そういうものです』



何回か軽く言葉を交わし、本題へ入る。



星「青学に近いマンションに偽の情報…お前に頼まれてたものは、全て用意しておいたぞ」


『ありがとうございます、兄さん』




星「…本当に…行くのか、青学に」


『…はい』


星嗣は少し顔をしかめたが、神楽の目を真っ直ぐ見つめる。



星「俺は止めない…お前にその覚悟があるのなら、

俺は…神楽の一人の兄として、お前を全力でサポートする」


『!…兄さん…』


星「お前は一人じゃない事を、決して忘れるな。

…青学で、思う存分暴れてこい…神楽」


神楽はゆっくりと頷き、

『…はい、』

強い意志を感じさせる瞳で星嗣を見据え、

『いってきます…兄さん』

呟き、星嗣に背を向け、部屋を出た。


星「澪…どうか、神楽を見守ってやってくれ…

復讐の道を進む、俺の大事な妹を…」


星嗣は窓に視線を向け、一人呟いた。

その空は、哀しい程綺麗な、星嗣や神楽の瞳の色と同じ、澄み切った青色をしていた…。



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