銀魂&春夏秋冬

□あたたかい時間
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今朝は目が覚めると近藤さんの部屋に居て、驚き半分、嬉しさ半分で仕事に取りかかった。


まずは朝ご飯。
今日はお味噌汁の係りだったはずだ。
台所に行くと何人かの女中さんがすでに他のおかずの用意をしていた。


「おはようございます」

「あら、おはよう冬夏ちゃん」


挨拶もそこそこに自分の持ち場へ入りお味噌汁を作っていると、廊下の方からガヤガヤと話し声が聞こえてきて、朝稽古が終わったことを知った。
きっとお腹を空かせているであろう隊士さんたちを思い浮かべながら味見をした。

うん、おいしい。大丈夫。

先頭に見えたのは沖田さん。
そのななめ後ろに山崎さんと原田さん、と次々に食堂に入ってきた隊士さんたちを見て汁椀にお味噌汁を配膳していく。
どこからか、味噌汁うまいな!と声が聞こえて、嬉しくて笑顔がこぼれた。

朝食が終わったら次に洗濯。
こんなぽかぽか陽気ならきっとすぐに乾くだろう。
ぱし、ぱしん、とシワにならないように洗濯物をはたいて物干し竿へ。
たまにそよりと感じるあたたかな春風が心地よくて、仕事がしやすい。
これならあの人も市中見回りを散歩のようにしてるのかな、なんて思ったりして。
晴れ晴れとした青空に今日も平和であるよう祈った。

全てを干し終えたら次はお掃除。
女中全員で各々に分かれて掃除をする。
今週の私の担当は屯所の外周。
結構な広さを誇る屯所の外周はそれに比例している。
さっさと金バサミを掴んで門番の隊士さんに会釈をすると通行の邪魔にならないところから始めた。
今日もちらほらとゴミが落ちている。
誰かのタバコの吸い殻やシャトルの破片、空き缶やお菓子の空箱など様々で、拾う紙くずに稀に書かれている真選組への心無い文字を見て悲しくなったりもして、体力的には比較的楽な担当だけれど精神的には少しだけ大変だった。

私が屯所の周りを一周したころ、丁度帰ってきた見回り担当の人たちと一緒に中に入った。
急いでお昼を作って、昼食が終わるとやっと一息。
自然と女中さんたちでお茶を飲みながら雑談タイムとなる。


「冬夏ちゃん、近藤さんとは仲良くやってる?」

「えっ…あの、……っはい…」

ニコニコしながら訊いてくる他の女中さんたち。

なんだか恥ずかしくて顔に熱が集まるのを感じた。
真っ赤になっちゃって可愛いわねぇ、なんて言いながら母のような眼差しで見てくる先輩女中さんたちは優しい。
けれど恥ずかしさや照れはノンストップで膨張して行き、耐えきれなくなった頃には逃げるように局長にお茶煎れてきます、なんて墓穴を掘るような言葉を吐いてしまった。


「「「いってらっしゃい」」」


声を揃えてそう言った女中さんたちに背を向けてお茶を煎れ、局長室へ向かった。





局長室のそばの角を曲がると縁側に人影。
近づけば日だまりに包まれて眠る近藤さんだと分かった。
少し離れた場所にお茶の乗ったお盆を置き、隣に座って寝顔を見ていると自然とこぼれる笑み。
きっと緩みきった顔をしているだろう。
けど良いのだ。

これが私の1日の一番



あたたかい時間


(近藤さんの匂い)
(近藤さんの体温)
(今は私だけのもの)



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連載っていうよりシリーズっぽくなってきました…
そしてまたしても近藤さん寝てる


11/11/21


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