適当二次小説

□第ニ節
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第十三 『うるさい』










「ん…くあぁ…」


布団からむくりと起き上がり、真四夜は目をこする

真四夜が目覚めたのはお昼前だった



3時間位は寝れただろうか


真四夜は眠たそうにポリポリと頭をかいた



その時

「…っ?」

頭にチクリと痛みを感じる

何か切れているような嫌な感じ、

頭から手をすぐに離し、掌を見た真四夜は目を丸くする


(ああ…そういや頭噛まれてたな…、)

指に赤いものが付いている

見たらわかる、これは自分の血


真四夜はため息をはき、だるそうに腰をまわした

「!?」


その際、真四夜の眼が先ほどまで自分が頭を預けていた枕をとらえた




寝る前は白かったはずの枕








すっかり血に染められ、綺麗に真っ赤になっていた

ここだけ見ればホラー映画のそれである


「……死んでねえよな俺、ていうか誰か言えよ…」


頭を改めて触ってみるが、出血は止まっているようだ

ひとまずの安心を見せ、枕を見なかったことにしながら真四夜は布団をまくり、ベッドに座る状態になった

マシヤ(…もう一日…、何となくに生きてるなあ)


ちょうど目の前に映るドアをぼーっと見つめて真四夜は思考にふける


だがすぐに意味のないことだと思ったのだろう

腰をあげ、多少ふらついていたが真四夜は部屋をでていった




廊下に出た真四夜はほのかに漂う香りを感知する
もう昼食を作っているのか肉が焼けるいい匂いがした



匂いにつられるまま台所に足を運んでいるのは本能なのかもしれない



キッチンにつくと今度はアリスが何かを作っているようだ、フライパンから小気味よい音を鳴らしている


魔理沙はテーブルでうなだれていたが真四夜の姿に気付くと手をあげて挨拶の意を見せた


「お、起きたか、もういいのか?」

「あんまり寝てると牛になるとか聞いたんだよ」

「ちょうどいい時に来たわね。もうすぐ出来るわ」


フライパンを器用にシャラシャラと動かすアリス
上海人形が近くで似たような動きをして真似をしていた

こちらもなかなか手慣れているようで、普段から自炊しているのが見てわかった


とりあえず料理を楽しみに真四夜はテーブルに座る

魔理沙はテーブル越しに身を乗り出して聞く


「でさ、スペルカードどうだった? 試してきたんだろ?」

「ん? ああ、まだ2枚しかやってねえけどびっくりした」

「どんな感じなんだ?」

「見てからお楽しめ」

「ちぇっ」


あまりいい答えが返ってこなかったためか、魔理沙は椅子に座りなおし小さく悪態をついた


「よしっ、できたわよ」


アリスの料理も出来たようだ、どうやらハンバーグらしい

フライ返しをうまく使い、アリスは手際よく綺麗に皿にハンバーグを乗せていく

仕上げにそえられたパセリとポテトサラダがハンバーグをより引き立たせて見せた


匂いからしてものすごく旨そうだ
もちろん見た目も素晴らしい


待ちきれない様子の二人を目にし、アリスも笑いながら席につく

三人が手を合わせ、それぞれの皿に盛られたハンバーグに手をつけ始めた

魔理沙と真四夜は箸を手に取り迷うことなく食べていたが、一人アリスだけはナイフとフォークを使い上品に食べている


育ちがいいどこかのお嬢様のようだ

一心不乱に食べている二人にアリスが微笑みを向ける


「どう? 特製ハンバーグは?」

「こりゃうまい」

「うめえなあ、怪しい物が入って無い分安心して食べれるし」

「なんか言ったか?」

「いや何も」


アリスがまた、くすりと笑いを見せた


「ま、そう言ってくれると作った甲斐があるわ。」

「これなら毎日食べても飽きないかもな」

「えっ?」


アリスの顔が一瞬にして紅潮していく
表情は固まっていたまま、目を見開いて魔理沙を一転凝視していた





「そ、そそそういうなら毎日作ってアゲナイコトモ」
「ハンバーグ食べたらスペルカード見せてくれよ真四夜。」

アリスが言っていることを無視し笑顔で真四夜に話しかけてくる魔理沙

ちょっとは耳を傾けてあげて下さいと言ってあげたくなる


気使って黙ろうとしたのに


アリスを多少不憫に思いながらも真四夜はそれに応じる


「いいぜ、時間はあるからゆっくりな」

「おしっ!」


意気込みながらハンバーグの最後の一切れを口に放り込む魔理沙


「じゃ、先に外で待ってるぜ!」


そういって片付けもそこそこに、後ろの棚に置いてあった帽子をかぶるとさっさと外に出ていってしまった



食べるの早いです
そう言いたかった二人だが、疾風のような速さに口を出す暇がなかった

「そんな急がんでも…」

「ムニャモゴ…、ダカラソノ…」



アリスはいまだ存在しない対象に向けて言霊を放っていた












二人は魔理沙よりは遅れてハンバーグを食べ、同じように片付けもそこそこに外へと出ることにした



ドアを開けた先にはわかっていたことだが既に魔理沙の姿が


やる気満々で、準備運動をするように屈伸をしていた



「よし、早速やる。」

「頼むぜ! さあこい!」

「……ん?」

「ん? じゃなくて、私に向けて撃ってこいよ。」


一体どうした何がおかしいという態度の魔理沙に対し、真四夜は意図を理解したのか顔をひきつらせた


「待て…、二枚のカードしか見てないけども、どうやら俺の能力に反映して爆発系統のものばっかりだぞ、喰らったら痛いじゃすまねえかもしれんし」

「幻想郷最速の私なら大丈夫だぜ!」

「えー…」


頭をかいて困惑の表情を浮かべる真四夜
見かねたアリスが口を開く


「諦めなさいよ魔理沙、スリルを楽しみたいかは知らないけど真四夜が手加減して本当の効力見られないかもよ」

アリスの援護に真四夜は親指を立てて見せた


おそらく感謝の意だろう

魔理沙は眉にしわをよせ考えていたが、色々と考えやがて観念したのか


「わかったぜくそう、」

といいながら真四夜の後ろに移動する





「よーし。じゃあまず俺もまだ試してないやつを!」


心のつかえも取れた真四夜は意気込み、懐からカードを一枚取り出した



そしてカードを確認し、叫ぶ


「焼符『グラフバースト』!」


掲げたカードが発光する






だが


「……あれ?」

カードは反応を見せた、発動はしたのだろう


だが、真四夜の眼にはなんの変化も見受けられなかった



しかし、時間がたつにつれて両手に違和感を感じた


「おい真四夜、手に何か出てるぞ」

「お?」


一番に気づいたのは魔理沙

指さされた方向には真四夜の手のひら、
両手のひらから炎の小さな塊が渦巻いていたのだ


「おお?」


思わぬ現象に真四夜はまたも困惑を見せる

そうこうしている内に炎の塊は質量を増し、膨らみ始めていた



「な、なんだ?」


突然の事に驚いた真四夜は思わず両手でそれを押さえ込んでしまった

するとその炎の塊は、手の動きに合わせて小さく、小さくしぼんでいってしまった


「しぼんだ?」


手の中で収束はしているが、小さく漏れる光を覗きながらアリスはつぶやく

しかしまだ膨張は続いているようで、だんだん手の中から押されるような圧力を感じる


「どうすりゃいいんだこれ…」


そろそろどうにかしないと手もキツイ
真四夜の腕がわずかに震えだす


「とりあえずなんかしてみろよ、手を前に突き出してみるとか、ものは試しだぜ。」


「こ、こうか?」

真四夜は言われた通りに両手を前へ突き出してみた



その瞬間



ドゴオオォォォォォ!

という音とともに手の中で収束したエネルギーが一気に噴き出した

炎と熱風が前方一帯を焦がし尽くす



「うおぉ!?」

真四夜の体がぐらついた
それなりに反動はあるようだ、後ずさりはしたものの何とか後ろに力をこめて真四夜は持ちこたえた


数秒放出した後に幕切れのように
パシュ、と最後っ屁を出したかと思うと、もうそれきりであった


魔理沙が1番に口を開く


「お〜〜…、まあまあだな。それにマスタースパークに似てるぜ」

「確かに出す所まで似てたわね…でも発動の早さでいったら魔理沙のが上かしら?」

「当たり前だ! 私は幻想郷最速だからな!」

「いやそれは関係無い」



そんななか真四夜がため息をつく

「それにしても俺のカード…うるせえ…、毎回こんなじゃ心臓に悪いんだよ」

苦い顔を見せる真四夜を励ますつもりなのか、アリスは言う


「あら、音だって戦略に使えるわよ?」

「そうかな…」


それとなくフォローを入れるあたりは気遣いが垣間見える


真四夜は苦笑いをしながら、早くも次のカードに手を伸ばしていた


「お、もう次いくのか」

「ああ、これならばさっさとやったろうと思うんだよ」

魔理沙に答えて次に取り出したカードをはっきり協調して見せた

そして苦笑いのまま真四夜は次のスペルを叫ぶ



「地苻『反逆の隕石』!」



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