山獄

□しゃぼん玉
1ページ/7ページ

『隼人、隼人』


『隼人、お誕生日おめでとう』



───…、……ら…






『当然よね、私はあなたとは違い、お父様と正妻との間に生まれた娘ですもの』






、───…でら…










「獄寺!大丈夫か?」

「っ!」

隣で寝ていた山本に体を揺さぶられ、俺はハッと目を覚ました。


(夢…)


嫌な夢だ、と額に滲んだ汗をTシャツの袖で拭う。

は…と息をつきながらデジタル時計を見る。

時間はまだ夜中の3時を回っていない。

昨日も遅くまで部活をした後、飯の用意と俺の相手とで疲れ切っていたであろう山本は、俺のうめき声で起こされた訳か、悪い事をしてしまった。

「獄寺、大丈夫か?何か悪い夢でも見たのか?」

額に腕を当て、真っ暗な天井をぼんやりと眺めていると、天井は、山本の心配そうな顔に変わった。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ