山獄
□しゃぼん玉
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『隼人、隼人』
『隼人、お誕生日おめでとう』
───…、……ら…
『当然よね、私はあなたとは違い、お父様と正妻との間に生まれた娘ですもの』
、───…でら…
「獄寺!大丈夫か?」
「っ!」
隣で寝ていた山本に体を揺さぶられ、俺はハッと目を覚ました。
(夢…)
嫌な夢だ、と額に滲んだ汗をTシャツの袖で拭う。
は…と息をつきながらデジタル時計を見る。
時間はまだ夜中の3時を回っていない。
昨日も遅くまで部活をした後、飯の用意と俺の相手とで疲れ切っていたであろう山本は、俺のうめき声で起こされた訳か、悪い事をしてしまった。
「獄寺、大丈夫か?何か悪い夢でも見たのか?」
額に腕を当て、真っ暗な天井をぼんやりと眺めていると、天井は、山本の心配そうな顔に変わった。