素敵文

□雪に誓って
1ページ/3ページ



そういえば昨日の夜は特別寒かったなぁ。
そんなことを考えながらオレは談話室に向かった。
暖房が付いてる自室と違って廊下はかなり寒い。
だが談話室は暖炉があって温かいはず。
小さな楽しみに胸を膨らませ談話室の扉を開けたが、その期待は呆気なく崩れ落ちた。


「ゔお゙ぉい…何で誰もいねぇんだぁ?」


レヴィとルッスーリアは任務って言ってたのを覚えてる。
ベルとマーモンは確か…日本に寿司を食いに行くって言ってたな。
ってことは今日アジトにいるのはボスだけか。
オレは談話室を出てボスの部屋へ向かった。

今日は本当に寒い。
部屋に向かう足が自然と早くなる。
部屋の扉を開ける時、いつもの癖でうっかり勢い良く開けてしまった。
何か物が飛んでくるのを覚悟して目を閉じたが、何も飛んでこなかった。
寝てるのかと思いベッドを見たが、XANXUSは見当たらなかった。
それ以前にXANXUSは部屋にいないようだ。

どうしようかと考えていると、不意に窓に何かが当たった。
オレは何か起きたか確かめる為に窓を開けて外を見てみた。
外を見て一瞬言葉を失う。外が真っ白な雪で埋め尽くされていた。


「おいカス。人の部屋に勝手に入るんじゃねぇよ」

「一応ノックはしたぜぇ」

「返事してねぇ」

「……。と、ところで!!外で何やってるんだぁ?」

「…別に」

「…まさか一人で遊んでたのかぁ?」

「はぁ?誰かそんな馬鹿みてぇなことするかよ」

「素直じゃねぇなぁ…」

「何か言ったか」

「何でもねぇ!!今からそっち行くから待っててくれぇ」


オレは急いでXANXUSが待つ庭へと降りて行った。
XANXUSの周りには明らかに遊んだ跡があったが、また何か言うと殺されそうなので黙っておく。
オレは雪だるまを作る為に雪を掻き集めた。
雪の塊はだんだん大きくなってきて、あとは身体と頭を付けるだけ!!って時に案の定XANXUSに壊された。


「やると思ったぜぇ…」

「雪だるまなんざ餓鬼くせぇ」

「だったら何して遊ぶんだぁ?」

「雪と言ったら雪合戦に決まってるだろ」

「二人で雪合戦は無理あるだろぉ…」


そもそも雪合戦の方がよっぽど餓鬼くせぇと思うけどなぁ。
そう思ったこともXANXUSには黙っておこう。

取り合えず雪だるまは駄目。雪合戦も無理。
他に雪で遊び方なんてあったか?


「おいドカス」

「なんだぁ?ぶわ!!ゔお゙ぉい!!人の顔に向かって雪を投げんじゃねぇ!!!!」

「てめーが隙だらけなのが悪い」

「だとぉ!?」


オレとXANXUSはその後、軽く三時間ぐらいは雪合戦をした。
合戦というよりは、二人で雪で戯れていただけだと思うが…。
もちろん勝ったのはXANXUS。オレがXANXUSに勝てるわけがねぇ。
まぁ雪合戦ぐらいなら勝てるのかも知れねぇけど。
途中でXANXUSが雪玉に加えて憤怒の炎を入れなきゃ勝てたかもなぁ…。


「ゔお゙ぉい…もういい加減疲れたぜぇ…」

「それはこっちの台詞だ…」

「いい歳して雪で遊ぶからいけねぇんだぁ」

「フン…俺24だ。まだまだ若ぇ」

「…十分いい歳だろぉ。ま、オレも人のこと言えねぇけど」

「カスが。負けたくせに調子乗るんじゃねぇ」

「ボスが憤怒の炎を入れなきゃオレが勝ってたかもしれねぇぞぉ!?」

「それはねぇな」

「ゔお゙ぉい!!断定するなぁ!!」


XANXUSとスクアーロは雪の上で寝そべり、他愛のない話をしていた。
気付くと時刻は夜の7時で、外の気温は一気に下がってきた。
外に出る気なんてなかったスクアーロは上着など着てる筈もない。
アジトの中に戻って上着を持ってこようか迷ったが、かなり面倒なのでやめた。
ちょっと何か物を取りに行こうと思ってもなかなか気が進まないほどアジトは広い。
スクアーロはもうしばらく寒さに耐えることにした。
あと何時間我慢できるだろうか。
そんなことを考えていると、スクアーロの上に温かい上着が降ってきた。


「着てろ」

「それじゃあボスが寒いだろぉ…」

「俺の命令が聞けねぇのか?」

「…もしボスが風邪引いたらオレにうつせよぉ?」

「それは無理だな」

「ゔお゙ぉい!!何でだぁ!?」

「馬鹿は風邪を引かねぇらしい」

「……」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ