□ひねくれ
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こいのぼりそよぐ春風。

青く澄んだ空に、はしゃぐ子供達の声が響いていた。



が、真選組屯所からは正反対のオーラが出ている、と断言出来よう。

土方十四郎その人がいたからである。





「………るせーガキ供……こちとら徹夜明けで瞼死んでるんだよ!!」

隈の入った瞳はギラギラ輝き、書類に対して人を殺せそうな視線を突き刺していた。


真選組副長であるが故に事務処理事務処理………

この際外に出て、浪人ぶった斬った方が全然いい。
遥かにいい!!


「っそぉ……総悟のヤロー……始末書書いてねぇなコラ……。」

給料減らすように勘定方に掛け合ってやる、と一人ニヤつくと、障子の向こうに人影を見つけた。



「そこ、誰だ。」

「……気配で分かれ、鬼の副長さんよ……」



その声に、土方の片眉が上がる。
聞き覚えがある。この声。



「高杉……おま、なんで此処にっ?!」

「いちゃ悪ィかよ?」


障子を開けた晋助は、見事に組の隊服を着こなし、いつもの包帯は眼帯に代わっている。
それを見て口をパクパクさせている土方に、高杉はにやりと笑いかけた。


「てめぇの部下は能無しばっかりだな?この程度の変装にしっかり騙されてんぜ?」


真昼間の屯所に指名手配犯。
気付かない方がおかしいのだ。



「………見ての通り仕事中だ。今お前の我が儘に付き合ってられる程暇じゃねぇんだよ。」


「…………副長ー。」

「あ?」




ずかずか近付いてきた高杉は、無遠慮に土方の腕を引っつかむと、そのまま部屋から引きずり出す。

その顔には笑み。



「ば、何すんだ離せ!仕事が!」

「副長、今日は見回りパトロールだろ?しかも誕生日ときた………ついでにデートしてやらぁ。」



高杉が言う瞬間に、握る手に力が入る。

引きずられる立場の土方はニヤリと笑った。




「………耳まで真っ赤なのは変装できねーんだな。」

「るせっ……!子供の日生まれのガキ!」








HAPPY BIRTHDAY土方十四郎!



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