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□硝子飴玉
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からり、ころり。
からり、ころり。
何かが転がる軽快な音が微かに万斉の耳に届いた。
「……何の音が………?」
ふと見つめたのは晋助の部屋。
どうやらそこから音がしているらしい。
「晋助ー?」
「??」
がらりと無遠慮に襖を開けると、晋助が可愛らしく部屋の中央に座っていた。
「何だ?」
「……晋助っ…!!それは誘ってるんでござるかっ……!!」
「黙れ変態!!!何の用だ!!」
万斉さん、どこ見てんすか。
確かにあひる座りの高杉さんは、白い腿を曝しているけど。……そこ?
少しだけ機嫌を崩した高杉さんは、何かを転がす手を止めた。
ちょっと………高杉さん。
上目遣いの睨みは効果無いっすよ……!!
むしろ逆効果だよ!
「ぐほぉぁっ……。と、ところで、晋助、それは……?」
「ん?コレか?」
晋助は転がしていた球体の瓶を持ち上げた。
キラキラ光るその瓶の中には、赤、水色、黄緑、黄、桃の透明なビー玉のような飴玉がいくつか入っている。
「………飴。」
ぽつり、呟いた晋助の吐息からも、甘い苺の香りがした。
「万斉も食うか?」
「あ、ぁあ、貰うでござる。」
既に頭が理性と格闘モードの万斉は、軽く晋助の言葉を流す。
生足、そして可愛い態度+飴玉のコンボは、間違い無く万斉の理性を削った。
「ちょっと待ってろ……何味がいい?」
瓶の蓋を頑張って開けた晋助は、瓶の中身を見つめたまま万斉に尋ねた。
その余りの可愛さに、万斉は完敗した。
「晋助と同じ物を。」
急に冷静になった万斉の声に気付かず、晋助は赤い飴玉を取り出し、振り向く。
「……ほら、苺あj……んぅっ!!」
振り向いた途端、万斉は晋助の両腕を掴んで無理矢理口付ける。
どうやら理性が完全に吹っ飛んだらしい。
晋助の手という支えを無くした瓶は、中身を零しながら畳の上を転がる。
「…ぁ、…ふぁ……ん…」
「甘い、でござるな。」
唇を離した万斉が呟く。
彼の口中には、先刻まで晋助の口内にあった苺味の飴があった。
「美味しい。」
「…………変態。」
笑顔でそう言えば、真っ赤な顔した晋助が畳に広がる飴を瓶に入れ、水色を頬張っていた。
To Be Continue……?