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□The first death is...
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寄生型の適合者は長くは生きられない。

その事実を知ったのは、一週間前、自分の残り時間について聞いた時だった。
そして、つまり、モヤシの寿命もまた、残り僅かであると…
同時に知らされた。


悔しかった。
今まで知らなかった事が。


関係ないと思いながらも、わざわざ自分に関わってくるあいつを気にしない訳にはいかなかった。
喧嘩相手。
それだけだったのかも知れない。
だが、今まで話したりする相手がいなかった俺にとって、非常に物珍しい存在だった。

「どっちが先か…」

ぽつんと呟いてみたその言葉。
呟くには重すぎる気がした。

「どうしたんさ?」
「別に」

ブックマン。
こいつもいつかこの教団を去らねばならない身。

誰が最初に往くことになるのだろうか

天寿を全うして死ぬなんて夢のようなことに憧れはしない。
きっとそれは皆同じ。
教団に来た時点で、それなりの覚悟はしてきているはず。
それでも人は長く生きたいのだろう


何時死んでもいい
あの人に会えるのならば


それが一番の願い。
そのはずなのに

きっともう俺の命の残量は無いに等しい。
回復力の低下。
それがその証だ。
怖くはない。だがせめて…

せめて、
全てが終わるまで保ってくれ。

こんな想いを一番に思えるようになってしまった俺自身を、少しだけ、バカだな、と思った。



>>>アトガキ
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