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□青色晴天
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「ねえラビ。」
「なんさ?」

唐突な呼びかけに驚くことなく、のんびりと返事をする。
ここは、任務先の町の近くにあった小さな丘。
今、二人はその丘に寝転がっていた。

「いい天気ですね〜」
「そうだな〜…洗濯物が良く乾きそうさ」

視線の先にあった家のバルコニーで洗濯物が靡いているのを見ながら、ラビはそう返した。
その言葉に、アレンがワンテンポ遅れて口を開く。

「主婦臭いですね。」
「ひどっ!洗濯物が見えたから言ってみただけさ!!」
「人んちの洗濯物見る趣味があるんですか。」
「ないって!!」

苛立たち気味に冷たく言うアレンに、少しむっとしながらも、ラビは尚も空を見上げ続ける。

余りにも青しかないとつまんないな。

心の中でそう言うも、口に出すことはせず、ただひたすら青い空の中に雲を探す。
ラビがそんなことをしていることを知ってか知らずか、アレンは再び口を開いた。

「ねえラビ。」
「なんさ?」

同じことが繰り返される。
そんなのはいつものこと。
特に気にもせずに、ラビは再びのんびりと返事をした。

「そろそろ夏ですね」
「だな。」
「教団が寒いからまだ冬かと思いました」
「それは無いだろ」

大げさすぎるアレンの体感温度に、ラビは笑わずに突っ込みを入れる。
少し冷たかったかな?と思いながらも、ラビは雲を探す。

「本当です。…あ〜あ……眠いなぁ…」
「寝れば?」
「ラビも寝ましょうよ」
「俺はいい」
「でも、そうやって口開けて空ばっかり見てると、馬鹿みたいですよ」

小さく笑う声が聞こえて、思わず横を見ると、アレンが笑いながら自分を見ていた。

いつから見てたのだろうか…?

不思議そうに銀灰色の瞳を見つめる。

「ずっと見てたのに、気付かないんですね。」
「気付く訳ないだろ」
「そんなに空って面白いですか?」
「別に〜…」

何もかも見透かしたような声に、むぅっと頬を膨らませ、再び空に視線を戻すラビをじっと見つめ、アレンは再びくすっと笑い声を零すと、今度は心から楽しそうに口を開いた。

「前言撤回です。やっぱり僕も空見ます」
「あっそ…」

馬鹿にしたのに、同じことするのかと、少し不服に思いながらも、ラビは小さく返事をした。

今日は晴天。
明日もきっと、晴れるんだ。



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