Short
□I love you.
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好き……
─好き…
───好き。
大好きだよ、アレン。
何度も何度も囁いたたった二文字の「好き」という言葉。
そして、たまに口付けながら囁いた「愛してる」。
その時君はいつも悲しそうに笑いながら「大好き」だと返してくれた。
いや、「大好き」だとしか返してくれなかった。
そんな君に、ちょっとだけ寂しくなって。
この間、何で「愛してる」って言ってくれないのかって聞いたよね
そしたら、少し驚いて。
それから、優しく微笑みながら答えてくれた。
その答えは、苦しくて、辛くて。
でも優しかった。
そして、その後、君は俺を殺したんだ。
「愛してる」という言葉で。
だから、君は俺という牢獄に閉じこめられた筈なんだ。
その筈だったんだ。
なのに…
君は逃げてしまった。
俺という牢獄から…
愛という楽園から…
世界という奈落から…
人生という生から………
零れるのは涙だけで。
冷たく横たわる君は全てを知っていて、「愛してる」と言ったのだと思うと、胸が苦しかった。
何で君は笑ってるんだろう?
何でそんなに嬉しそうなんだろう?
その答えは、きっと君にしか分からないけど
君が幸せならばそれ
でいいや
そう思えた。
小さな笑みは、君だけに向けて。
「愛してる…」
小さな囁きも、君だけに向けて。
死の言葉を囁きながら、
幸せそうな唇にそっと口付けた。
>>>アトガキ