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□その時の… side Yu
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残ると言ってくれたのは、嬉しかったのかもしれない。
でも、残るのなら一人で。
戦うのなら一人で。
負けるつもりも、負けるわけにも無いのだから、信じて欲しいという考えも、なぜかあった。
ただ、死ねないのは、あいつらの為だけじゃない。
やはり、一番は

───…あの人に会うまでは。

自分の命の残量がなくなろうと、あの人に会う時間だけ残っていれば…

自分が戦う理由は、それだけだと思っていた。
だけど、どうやら今は違うのかもしれない。
目の前に立ちはだかるノアに思うことは、今までと違って沢山ある。
その中に、あいつらの元には行かせない、という感情があるのには驚いた。
仲間意識…
そんな物必要ない、と。
甘すぎる、と。
そうあいつに言ったことがあった。
だが、今は、その言葉を自分に返すことになりそうだと、でも、それもいいかもしれないと。意味不明なことを考えていた。

……甘いのは、俺の方かもしれないな…

俺は、他人に感情を揺るがされることは無いと思ってた。
でも、

一緒に…

真剣な瞳で叫ばれた時、目眩を覚えた。
俺を心配している…。
その場にいた人間の中で、一番酷い扱いをしてきて、尚且つ、気の合わない奴だと思
ってた奴が伸ばした手。
綺麗すぎる感情。
不思議だった。
どうして、そんなことを思えるのか。
そして、少し、嬉しかった。

だけど、掴めなかった。

やはり、戦う理由は、あの人に会うためだから。


絶対に…
絶対に、追いついてやる。
こんな所で死んでもいいと思えるほど、俺は落ちぶれちゃいない。



>>>アトガキ
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