終焉の鎮魂歌<レクイエム>
□第六楽章
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「失礼します、元帥。神田です」
クロスの部屋を軽くノックし、そう声をかけると、間もなくして戸が開けられた。
「神田…ああ。ティエドールんとこのガキか。何のようだ?」
「少しお時間頂いてもよろしいでしょうか?」
「……アレンの事なら断る。」
真剣な瞳を見、瞬時に言いたい事が分かったクロスはそう切り捨てると、迷わず戸を閉めようとする。
だが、閉められようとした扉は途中で動きを止める。
神田が足で扉が動くのを止めたのだ。
「………」
「少しお時間頂いてもよろしいでしょうか?」
もう一度繰り返す。
「………入れ」
僅かな沈黙の後、小さくため息を吐いて、クロスはゆっくりとドアを開けた。