終焉の鎮魂歌<レクイエム>
□第五楽章
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彼らの報告に、教団は動き出した。
報告に目を剥き、いつも以上の過剰反応を示したコムイは、本部だけでなく、支部にもアレン・ウォーカー捜索を指示した。
そう。それから早三日。
手かがり一つ見つからなかった。
「あのネックレスにはね、発信機が仕掛けてあったんだよ…君たちが行方不明になった時とかに役に立つと思ってね。」
リナリーから受け取ったアレンのネックレスを手のひらに乗せ、苦しそうに微笑みながら、コムイは小さく告白した。
「ティムの映像見た所、アレン君が神田君にも付けるよう促したみたいだし…彼は気づいていたんだ。だから、これをあの場に残したんだ…」
「でもっ!何でわざわざ首から外して…?」
「ノアに貰ったもんを傷つけられるのがやだったんだろ。」
リナリーの声に、今まで黙って聞いていたクロスがあっさりと答えを口にする。
彼だけはひたすら冷静だった。
比較的冷静な神田も、時折苦しそうな表情を浮かべるのに比べ、クロスは全く持って表情を変えない。
全てを知っているとでもいうかのように、釈然と立っているのだった。