短編小説 U

□恋愛と情事
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男にとって、その感情とその行為は、全くの別物である。
言い切っても過言では無く。
それは有りの儘の真実である。
只、相手によってそれは感情の延長線上に成り立つこともある訳で。
(解ってくれているだろうか。)
順序を間違えてしまえば、それこそ不本意な結末と大惨事が待ち受けていたりもする。
(多分、間違えてしまったのだ。)
背を向けてひたすらに沈黙する彼女の背中が、その全てを物語っていた。

「…あの。」

小さく声を掛ければ、華奢な背中がびくりと反応した。
しかし、それだけ。
振り向いて話を聞こうとかいう意識は、まるで感じられ無い。
(やはり間違えたのだ。)
乱れたベッドシーツ。
散乱した衣服の数々。
上掛けにくるまる彼女は裸で。
自分は何とか下穿きだけを先程着てはみたけれど。
思わず零れた溜め息に、自分で切なくなった。
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