短編小説 U
□偽装幸福論
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幸福なつもりで毎日を生きている。
幸福なつもりで毎日を生きていく。
自分を偽装して、思考を偽造して、そうして築かれいく私の幸福論。
【偽装幸福論】
気付いてはいけないことが、生きていく上では多々あるのだと思う。
「だからさ、今度二人で旅行しようよ。」
満面の笑みを咲かせる目の前の彼氏に曖昧な返事をして、その隣に座る彼をちらりと盗み見た。
まるで興味無さそうに、オレンジジュースのストローを噛んでいる。
興味は無いか。
当たり前だ。
彼は私の彼氏の友達に過ぎない。
それ以上でも、それ以下でもないのだから。