短編小説 U
□それでもきっと恋をする
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世界の全てが君ではないけれど
世界の軸が君ではないけれど
きっと君は振り向かないけれど
愛してるとか
だいすきとか
傍にいてとか
きっと永遠に言えないけれど
それでも存在する限り
それでもきっと恋をする
それでもきっと恋をする
「うるせえ。」
何度聞いたか知れない悪態に、心中密かに溜め息を漏らした。
「まあた、そういうことを。」
お決まりとなった科白で応えれば、さして興味も無さそうに前を向いたまま完全に聞き流される。
何だかなあ。
いつものことながら、もう少し反応を示してはくれないものか。
今更ながらの淡い期待を打ち砕かれて、今度は現実に溜め息を漏らした。