短編小説 U

□That's for some reason
1ページ/3ページ

ぐちゃぐちゃの中を駆け回る。
滑る足元に何度も転びながら、それでも僕は駆け回る。


「ねえ、楽しいねえ!」


繋いだ手をぶんぶん振り回せば、生白い腕も一緒に揺れた。

楽しい。
何て楽しいのだろう。
嬉しい。
何て嬉しいのだろう。

君と僕の二人だけの世界は、こんなにも鮮やかに染まっている。


「…どうして早く、気付かなかったのかなあ。」


視線を投げれば、君は何も言わずにそこにいる。

ああ、しあわせ。
一緒にいられることが、凄くしあわせだ。

繋いだ手を離して、勢いよく君を抱き締めた。
受け入れて貰うこと、
傍にいられることが、
こんなにもしあわせだとは、知らなかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ