短編小説 U
□さよならダーリン
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大好きだったの。
傍にいたかったの。
ずっとずっと傍にいて。
ずっとずっと触れ合って。
それこそ、永遠に溶けてしまってもいい位に。
「…さよなら。」
ねえ、どうして。
どうしてそんな言葉。
どうしてそんな台詞。
似合わない。
あたし達には、似合わないよ。
楽しかったのに。
嬉しかったのに。
傍にいたかったのに。
触れ合っていたかったのに。
大好きだったのに。
どうして。
「…泣いても、いいよね…?」
あなたは応えないけれど。
あたしは泣くんだ。
赤にまみれたあなたの傍らで。
赤にまみれたあたしの手を見つめて。
大好きだったから。
傍にいたかったから。
あたしだけのものに、したかっただけだよ。
なのに。
「…さよならダーリン。」
end。