短編小説 U

□愛を哲学する。
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人間の根本原理を考えるのが哲学だ。
人間の大元の通理が根本原理だ。
根本原理だ何て言うけれど。
要は日常的な感情の学問では無いだろうか。
そんなに難しく考えている訳では無いけれど。


「…はあ。」


取り敢えず、溜め息が出てしまうのは仕方無い。


「…久々にうちに来たと思ったらすぐ寝ちゃうなんて、どうなのよ。」


私達はお互いに忙しい。
三十路前にもなれば、それなりの仕事も責任も背負うことが多くなる。
プライベートをそっちのけにしたい訳でもしている訳でも無いけれど、それでもおざなりになりつつあるのは間違い無い訳で。
隣ですやすやと寝息を立てる愛しい男に、視線を落とす。
後ろめたさと、多少の非難が混じる視線を。
見詰めていれば、閉じた瞼がふっと開いた。
薄く覗いた瞳が、ぼんやりと遠くで焦点を結びつつある。
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