collaboration
□見上げる世界
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通りに臨む窓から、そう。
戸と四隅しかない壁。
小さなひと部屋のみの住まい。
全面むきだしの建築材。
何もしていないのにここまで朽ちるのか・・そう思えるほどの荒廃。
夜も昼間も、明かりのつかない室内は外より暗い。
ここは世界の外側。
主がいた頃だってそう贅沢な部屋ではなかったはずだ・・
骨ばった寝台と棚と窓。チリとなりかけた布が飾る。
それらはすべて、もう動きを止めてしまったように見える。
窓の形にさし込む光だけが立ちのぼる砂塵に揺れていた。
誰もいない街に、部屋に、
ローレライはひとりきり。
おだやかで安心な空間。
なのにほんの一刻で血がめぐらなくなりそうにも感じる。
そんな情景に、ローレライは心から満足していた。