テニスの王子様
□意味深な空メール
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今日は暇で暇で仕方ない。
今日に限って面白いテレビなんてしてなくて。
何度読んでも面白い漫画を読みたい気分にもなれなくて。
ただ、ベッドの上でゴロゴロ転がってたアタシ。
「あーつまんない!…あ、」
そう叫んだ瞬間、携帯の着信音が部屋に響き渡った。
この音はメールだ。
誰だろう、こんな暇な時にメールくれるなんて超善いタイミング。
「……何よ」
メールを開いてみたものの、ソレにはタイトルどころか文章が無い。所謂空メールってやつだ。
善い退屈しのぎになると思ったのに見事に期待を裏切られたアタシは、空メールを送ってきた主、丸井ブン太に苦情の電話をかけた。
コールが4回ほど鳴ると、モシモシ、と聞こえた。
至って悪びれる様子もなく普通に電話に出る辺りがブン太らしい。
「やいやいテメー空メールなんて嫌がらせとは善い度胸じゃねぇか。」
《何だソレ、何キャラだよ》
「うるさいわね、キャラなんてどーでもいいの、さっきの空メールは何だったのよ」
《あー別に》
「別に、って!謝るくらいしてよ」
《何で》
「暇だったからメールがきてラッキーだったのにぬか喜びになったから」
アタシがそう言うと、ハッと鼻で笑うブン太。
何だ何だ、馬鹿にしてんの暇人を。
「どうせ嫌がらせか間違ったかどっちかなんでしょ」
《………よ…》
「え?」
《うっせー、何でもねぇよ》
じゃぁな。そう言われた瞬間プツッと音がしてツーツー、と無機質に耳に響く。
携帯を耳から離すと、アタシの耳はすごく熱かった。
「……バッチリ聞こえたわよ、馬鹿」
(空メールしたらお前が電話してくると思った)(お前の声が聞きたかったんだよ)
END.